一夜明けると残るのは後悔

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いつも通りに仕事をこなし、夕方に店舗で発注していた商品が届いたので、バックヤードで受け取った。店でも売れ筋のVネックセーターで、紺色、ベージュ、ホワイトの3色展開をしていた。3色展開をしてはいるものの、売れている色は紺色とベージュでホワイトは色が白すぎて肌に馴染まず、オフィスでも浮いてしまうと売れ残っていた。 バーゲンにも備えて本社の倉庫の在庫をチェックし、紺色とベージュのセーターをそれぞれ20着ずつ注文したはずだった。 なのに…… 届いた段ボール箱を開けて、私は動きを止めた。 中に入っていたのはベージュとホワイトのセーターだった。紺色を頼んだはずなのに、どうしてホワイトが? 内海さんに届いた商品に不良品がないかの点検はお願いし、私はバックヤードに置かれたノートパソコンを叩いて発注伝票を引っ張り出した。もしこちらが紺色を注文していて、ホワイトが届いていたのなら、明らかに本社のミスとなる。 発注をかけたのは4日前だから……。出てきたデータ内容に目が点になる。注文しているのはベージュとホワイトで、紺色の枚数は0と書かれている。誰が入力したのだろうかと送信者欄を確認すると、井筒 日和(イヅツ ヒヨリ)となっている。彼女は私より5歳年下でこの春に入社した社員だが、日頃から発注ミスやレジの精算ミスが多かった。
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