一夜明けると残るのは後悔

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腹立たしい思いで、胸の中をフツフツと煮えたぎらせたまま、どかっと控え室のソファーに体を預け、カフェテーブルに今日の晩ご飯の鶏ハムのサラダと春雨スープを置いた。一人の時の晩ご飯はだいたいこんな物だ。仕事でカッカしていると、あまり食欲も沸かなくなる。ストレスで食べるタイプの人もいるが、どうやら私は逆のようだ。落ち着いた状態の方が食べることに関心が向くようだ。 本社にホワイトを紺色に交換して欲しいとお願いしたが、紺色の在庫はもうなくて、ホワイトをなんとか売ってくれと懇願された。 あり得ない。 売るなら井筒さんが頑張るべきなのに、木村さんに「そこは経験豊富な正木ちゃんがなんとかするところでしょう?今日は店長代理なのに。」と言われてしまった。経験でいったら、あなたの方が長いくせに。 色が白過ぎるからオフィス向きって感じじゃないんだよね。 任されたならなんとかする。半ば意地だ。こんなところで弱音なんて吐きたくないし、吐いたって助けてくれる人はいない。 春雨スープを片手に、カフェテーブルに乱雑に置かれたままになった雑誌に目を通す。毎月、販売日に店長がありとあらゆるファッション雑誌を買ってくるのだ。 ホワイトが嫌いな女はあんまりいないし、定番の色ではあるけど、この白さが明るすぎて幼く見えるってことで敬遠されているのだと思う。 「休みの日なら……。」 例えば野外のイベントとか、家での女子会とか、いつもより可愛い系でもオーケーなノリの場所なら着やすいはず……。
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