一夜明けると残るのは後悔

14/20
前へ
/279ページ
次へ
そうと決まれば後は早い。残りのご飯を流し込んで、内海さんを控え室に呼び出した。 「社割で買ったコートを持ってきて。あと、ジーパンのワイドパンツと。」 「はあい。」 内海さんは緩く返事はするものの、動きは機敏だった。私の考えていることを理解しているようで、すぐさま必要な服を用意しては、自分の着ている服を脱ぎ捨てて、ワイドパンツにホワイトのセーターをインして、彼女が気にいって購入したキャメル色のダッフルコートを羽織った。 「お見事。」 彼女にスマホを向けたらすぐさまポーズを取ってくれる。「このスタイルなら鞄はこれかな。」と言って、黒いポシェット型のショルダーバッグを引っ掛けた。 内海さんにはいつもこの店が発信しているSNSのモデルをしてもらっている。背はそれ程高くはないけど、化粧映えのする目のくりっとした色白の顔とふっくらとした唇。誰が見ても可愛いと思える顔の持ち主だった。それに、本人も日頃から頻繁にSNSに写真をアップしているので、撮られることにも慣れていて、変幻自在に表情を作ってくれた。 [イベントごとの多い冬。忘年会に新年会、カウントダウンイベントには華やかに見せてくれるホワイトのセーターで出かけよう。ゆったりとしたセーターはお家でのパーティーにもピッタリ。] スマホに文章を打って内海さんに見せたら指でオーケーサインを作ってくれた。今週のコーディネートとしてアップしておく。
/279ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2617人が本棚に入れています
本棚に追加