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マネキンを着替えさせて、店頭入り口の棚を入れ替えたらかなりの労力だった。それでも、一着でもこのホワイトのセーターを売らなくてはならない。
慌ただしく働いた日は、帰りにPolarisに寄りたい気分にいつもなる。特に遅番の日は、店がオープンしているので、寄って帰ることが多い。大和くんに今日会ったことをグダグダ話して、大和くんが「お疲れの有栖さんに、俺がめっちゃ美味しいお酒いれてあげるわ。」って言ってくれるのがいつもの流れだった。
でも……ぎゅって指先で胸の辺りをつかんだ。昨日の今日で会いに行けるわけがない。どんな顔をして店に入ったらいいのかも分からないし、大和くんに「ただやりたいだけ」って思われたくもない。
彼のキスも抱きしてくれた体温も、お互いに喘いだことも全部覚えている。すごく心地よくて、もう一度あの手に触れられたとしても、拒むことはできないと思う。素直に受け止めてしまうだろう。でも、それは彼と話して笑い合う先にあって欲しいのだ。
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