一夜明けると残るのは後悔

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「やっぱり誰か待ってるだろ。」 新規の客が自分から離れたところに座ったのを見て、伊都が口を開いた。 「待ってなんかないって。」 「大和の友達を何年やっていると思ってるの?」 「……。」 「絶対に女だろ。」 「……。」 明日でケガをして3日目やけど、自分で手当てができるんやろかとか考えたりしているだけだ。別に待ってなんかいない。 「待ってるなら連絡ぐらいしたら?」 「連絡先なんて知らんよ。」 だって彼女とはバーテンダーと客だったのだ。ここにいれば、仕事終わりの有栖さんがいつも会いに来てくれた。個人的に連絡先を交換する必要なんてなかった。夜が明ける前には彼女は俺の知らない世界へと帰っていくのだから。 「知らないってどういうことだよ?新しい彼女とかじゃないわけ?」 「違うよ。そんなんやない。」 これ以上は逃げきれないなと思い、俺は伊都にクリスマスの日のことを素直に話した。彼女がこの店に来て、いつも通りに振舞って、あの日の夜のことをなかったことにしたいという思いも。
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