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部屋の食卓にカセットコンロと陶器の小型の鍋を置き、中でチーズフォンデュ用のチーズをグツグツと煮る。
1DKの賃貸マンションに背丈の変わらない顔立ちも似た女が二人、カウンターキッチンでチーズフォンデュの具材を切り刻んでいる。
「有栖ちゃん、ウィンナー全部使っていい?」
「いいよ。」
「ミニトマトは?」
「いいよー。」
チーズフォンデュの鍋を焦がさないように、木ベラで慎重に混ぜ続ける。キッチンではやいやいと黄色い声が上がっている。
キッチンに立つのは正木 つばさ(マサキ ツバサ)と正木 美織(マサキ ミオリ) だ。二人とも正真正銘の私の妹で、つばさは私の3歳年下で、すでに結婚もして1歳の子供もいる。美織はまだ21歳の大学1年生で、今はキャンパスライフを楽しんでいる。
正月に私が家に帰らないこともあって、26日の夜に「忘年会をしよう!」と言って、二人がお酒を買い込んで家に乗り込んできたのだ。
つばさも美織も私にとっては可愛い妹だ。昔から「有栖ちゃん。」って懐いてくれている。二人の前でなら私は素に戻れて、仕事場でのようなしっかり者の口うるさい正木有栖にならなくてすんだ。
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