二度目の後はまた会いたくなる

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私たち姉妹は仲が良い。幼い頃は喧嘩もしたが、今はそんなこともなく、姉妹三人で買い物に行ったり、テーマパークに遊びに行ったりすることもある。 次女のつばさは昔から堅実で器用な子だった。料理と裁縫が得意で、人との距離の取り方も上手で、人生においてつまづいたり壁にぶち当たったりすることもなかった。高校卒業後は地元の市役所で働き始め、そこで出会った5歳年上の職場の人と見事ゴールインしたわけだ。 三女の美織は天真爛漫って言葉がピッタリの子で、私とつばさにとっては、マスコット的存在だった。彼女に悪は存在しないのではないかと思うぐらい、人のことを信じる子だった。だからかもしれない。美織は17歳の時に高校を退学している。クラスでいじめられていたらしい。私もつばさもその事実を知ったのは、彼女が学校を休み始めて二ヶ月が過ぎた頃だった。 父親は学校に怒鳴り込みに行こうとしたが、美織はそれを止めた。私も悪いからと彼女は言った。私達は絶対に美織は悪くないって思っていたけど、それを伝えると美織は頑なに首を振った。 それから彼女は家に引きこもった。いつもリビングでぼんやりと外の景色を眺めていた。「このままではダメだ。」と、一番彼女を心配していたのは母親で、何を思ったのか突然子犬を拾ってきた。近くの空き家に捨てられていたとか言って。柴犬のような感じだったが、他の犬種も混ざっている雑種だった。 母親は美織にこの犬の世話をするように言った。家にいるんだからいいでしょうって。元々、生き物が好きだった美織はせっせと世話を焼いた。コロンって名前をつけて、それは大層可愛がった。散歩も餌やりも忘れることはなくて、コロンと一緒なら外に出ることもできた。 それから2年。コロンが立派な成犬になった時に、彼女は通信制の高校に通い始めた。1年生の単位は取っていたので、2年生と3年生の単位を取ると言って。その後は、大学にも進学して、今は友達に囲まれた大学生活を送っている。
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