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机にお酒、子育て中のつばさ用のジュースとチーズフォンデュの具材を並べたら、私達は缶ビールと缶ジュースをコツンとあてて乾杯をした。
「しかし、有栖ちゃんの部屋っておしゃれだよねぇ。」
美織が感心したようにつぶやき、部屋全体を眺め回す。
1DKの部屋は就職後、4年が経って借りたので、この3月で丸四年暮らしたことになる。
カウンターキッチンの前にはウォールナットが素材の円形のテーブルダイニングと黒い座面で背もたれと脚がテーブルと同じ材質の椅子が二脚置かれていて、食事をするときはだいたいここで済ませる。友達などが遊びに来ても、二人ぐらいなら折りたたみ式の椅子をクローゼットから取ってきて、対応することが多い。
食卓から部屋の奥を眺めれば、オレンジのソファーと食卓と同じ素材のテレビ台、壁にはアンティークショップで買った時計と絵が掛けられている。
「昔から服と部屋のセンスだけは良かったもんね。」
「だけって何よ?」
つばさの言葉に食ってかかると、だってさと言いたげに、つばさは美織と顔を見合わせて頷きあった。
「男のセンスは昔からめちゃくちゃ悪いじゃん。」
「ダメンズとしか付き合わないもんね。」
「そっ……」
そんなことないと言いたいけど言えない。姉妹で恋バナをすることもあるが、私が話すと二人とも散々なことを言う。決して二人が意地悪だからじゃない。
「高校の時の男は浮気性でしょ?ただやりたいだけみたいなやつ。」
「二人目は軽いDV野郎だったじゃん。最後はストーカーみたいになって大変だったし。」
「三人目はヒモでしょ?研究員とかいって、有栖ちゃんに貢がせるだけ貢がせて、最後は浮気してさようならだったじゃん。」
「……。」
そう、昔から男を見る目がない。高校三年生の時に初めて付き合った男は、浮気ばかりする人だった。初めてセックスをした次の日に、別の女の子としていたっていう。その子はよその学校の子だったけど、私の学校に乗り込んできて私に「別れて。」て迫ってきた。
なんで私がって思ったけど、つばさに「そんなやつ、熨斗つけてあげてあげなよ。どうせまた浮気するよ。」と言われて、確かにと納得して別れた。
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