2608人が本棚に入れています
本棚に追加
「それで最近は変な男につかまってないでしょうね?」
つばさに探るように目を見つめられたけど、
「大丈夫。」
と答えてビールの缶を空にした。つかまってはいない。一昨日、ちょっとした事故にあっただけだ。
「嘘だね。」
美織がすかさず指摘して、ガブリとチーズがたっぷり付いたウィンナーにかぶりついた。
「目が泳いでる。」
「……泳いでなんかないし!」
「声、上ずってるよ?今度はどこのどいつ?」
つばさの問い詰めはしつこい。こっちが吐くまで一晩中聞いてくる。それだけ心配してくれているってことなのだろうが。
「彼氏とかじゃないし。」
「彼氏とかじゃないけど、男がいるんだ。」
しまった……。「彼氏とか」と言うと、その「とか」につけ込んでくるのがつばさだ。
「もうここまで言ったんだから、話してよ。気になりすぎて夜も寝れない。」
「話さないと、チーズフォンデュあげないよ?」
つばさと美織が口を尖らせて、チーズフォンデュの具材を取り上げるので、さすがに觀念して一昨日の出来事を正直に話した。
最初のコメントを投稿しよう!