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「あれは絶対に、あのオーナーが犯人だよ」
下校時間。聞き慣れた声がしたので、私は柱の影にそっと隠れた。
下駄箱のむこうにいたのは、同じクラスの優一と圭太だ。
「パーティーの最中に、娘の彼氏を消そうとしたんだ」
上履きをスニーカーに履き替えながら、優一が言う。
「でも、最初にカクテルのグラスに口をつけたのは、オーナーだぞ? そのあとで、娘の彼氏にこれ美味しいよ、飲んでみる? って冗談ぽく渡したんだ」
先に靴を履き替えた圭太が、カバンを肩にかけて優一を振り返る。
「彼氏も一口飲んで、美味しいですねって笑ったろ? そのあとに、じゃあ私も~って言って、彼氏のグラスを奪って飲んだ娘の美紀だけが、死んじゃったんだ。おかしくね? 彼氏が毒を入れたとしか思えない」
そんな圭太に、優一は余裕の笑みだ。
「氷だよ」
「え?」
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