キミと二人の帰り道

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 学校帰り。  一人で通学路を歩いていたところ、公園の傍に何台かのケータリングカーが止まっていた。 「うわぁ、甘そうだな」  思わず眉をしかめ、そんな声を漏らす。  ケータリングカーの主力商品は、クレープやタピオカの入った飲料といった物が中心で如何にも女子が飛びつきそうなラインナップだ。 「女って、ああいうのに弱いよな。とは言っても、校則で買い食いできないこと、知ってる訳がないンだけど――って、あいつは……」  ふと、一台のケータリングカーの脇を通り過ぎた時だった。  見知った横顔が見えた気がして、思わず足を止めたのだ。店員がそれに気づき、メニュー表をちらつかせながら、人の良い笑みを浮かべていたが無視する。生憎、甘い物は好きじゃない。そんなことより、 「あー、買い食いなんてしてやンの」  思わず人差し指を向けて声をあげた。  そう、見知った顔というのは他でもない。僕の幼馴染みだった。 「うっ……なんで此処に。部活は?」 「今日はない日なんだよ。それより、『委員長』が買い食いなんてしてていいのかよ?」 「そ、それは……ね、秘密にしてくれない? ここのお店の新作なの」  今日発売日だったから、と少女は手を合わせて懇願する。  そんな幼馴染みの姿に、ジンワリと頬が熱くなる。このまま先生に告げ口しても良かったが、幼馴染みからの頼みを無碍にはできず、小さく息を吐いた。 「…………仕方ないな」 「やったぁ!」  よほど嬉しかったのか。飛び跳ねる幼馴染みの姿は兎のようで、手元の食べ物が零れ落ちないか心配になる。 「何食べてるんだ? ……ホットドッグか?」 「うん! 美味しいわよ、ホットチョコドッグ!」 「ホットチョコ、ドッグ……」  何故だろう。食べてもいないのに、美味しくないだろうと思ってしまう。普通のホットドッグに、ケチャップやマスタードの代わりにチョコをふんだんに使っているのだから。
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