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「泣いちゃだめだよ。俺は君の笑顔が見たかったんだから」
「ごめんね、でも……これ、嬉しい方の涙だから!」
届く保証のない手紙を何通送ったことだろうか?
でも、この村が分かったってことは、手紙が届いたってこと。
「ちゃんと届くんだよ。想いがこもっていれば」
「かっこいいゴーグルだね」
「うん。戦闘機のパイロットなんだぜ」
彼が見上げた先には、敵の空中都市要塞が浮かんでいる。
「戦争が終わったら、旅客機のパイロットになれるね。
そうしたら、お金持ちになって、私を楽にしてくれる?」
「多分、一生君がお金に困らない暮らしをさせてあげられるよ」
そう言うと彼は、ポケットから手を出して、私の薬指に指輪を嵌めた。
私は驚いて、バーミードックを落としそうになった。
「まだ、戦争が続いているなんて思えない景色だよね」
私は彼の背景を、遥か先の背景を、双眼鏡を使う仕草で覗き込んだ。
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