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ほどなく、街全体に終戦を伝える臨時放送が流れる。
特攻部隊が敵の空中都市要塞を壊滅させたという。
出撃したのは、若い戦闘機乗り達だった。
新型爆弾を機体もろとも目標に命中させた『国家の英雄達』の慰霊碑に、彼の名前が刻まれていた。
私は今でも、彼の想いがこもった指輪を見るたびに、泣いてしまう。
出撃前の彼の遺言で、報奨金は私に贈られた。
あの時、彼が語ったように、一生困らないくらいのお金が。
だけど、私が待っていたのは、英雄の帰還なんかじゃない。
ましてや、彼の命と引き換えに手にした莫大なお金なんかじゃない。
私はただ、大好きな彼を待っていただけ。
いつか、バーミードックを一緒に食べたいって想ってたんだ。
平和に成ったこの場所で……。
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