チョコレートパニック

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「へ?」  予想もしていない答えに、静香は面食らってしまった。 「2月14日の語呂合わせで煮干しの日」 「2と4は分かるけど、1が何でぼ、なのでよ」 「1をぼうって読むんですよ。それでにぼし。煮干しの日」 「本当にそんな日あるの? あなたが考えたんじゃなくて?」 「違いますよ。そういう日が本当にあるんです。そのおかげで、駅前の煮干しラーメンの店、今日だけ看板メニューの煮干しラーメンが500円になるんですよ。煮干しの日様々ですよね」  そう言って無邪気に笑う吉岡は、その笑顔の奥で何を考えているのか本当に読めない。 「あぁ、そう、それは良かったわね」 「よかったら先輩、帰り一緒に食べに行きません?」 「いや、行かない。私今ダイエット中なのよ」  どんどん話が逸れていく。この不思議な吉岡ワールドに惑わされてはいけない。 「そんな煮干しの日なんかより、もっと一般的な記念日があるでしょ、今日は」  静香の語気が少し強めになってしまう。 「ああ、バレンタインですかぁ。あれ、もしかして、先輩誰かにチョコあげるつもりなんですか?」
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