それでも俺は愛されたくて

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いつも 「勇気」 俺の名前を呼ぶみたいに あの女の名前も呼んでるんだ 「ん…っ」 優しく触れて 「勇気…」 愛おしそうな目で見つめて 「好きだ」 好きだと言ってキスをして 「あ…っ」 きっと大事そうに あの女のことを抱いているんだ 「お前は?言ってくれねーの?」 「好き…」 言っちゃダメ 「うん」 言っちゃダメなんだ 「好きなんだよ…」 「…知ってる」 好きだなんて 言っちゃダメなのに 「ねぇ…」 聞いちゃ… 「ん…?」 聞いちゃ…ダメって分かってるのに 「本命に…付き合ってる人いるよね?」 「それは…」 「答えないで…これは…答えなくていいから…」 お願い 「俺のこと…本当に愛してる…?」 嘘でもいいから… 「…ハァ……めんどくせーな…」 俺のことを…愛してよ… 「…」 なんて… 分かってた 「そんなの…分かってたことじゃん…」 愛されてないことも 「俺が…めんどくさいことくらい…」 一番にはなれないことも 「めんどくさい奴って…分かってて…手…出したんじゃ…ないの…?」 「ゆう…」 「愛してくれないなら…好きだなんて…言うなよ…」 嘘でさえくれないなら それほどに気持ちがないなら 抱いていたとしても 好きだなんて 言われたくなかった 「俺のこといつも抱いてくれてるじゃん…二番でも三番でもいいんだよ…愛してよ…俺のこと…」 「…」 どうして 手に入ったと思ったら いつのまにか消えてるんだ 「…好きだよ」 「だから…気持ちがないのに…!」 「気持ちがないなんて言ってねぇ!俺はお前が好きだ。でもお前の言う通り、お前が一番じゃない…」 「そっか……そっか…!」 愛されてるなら それが本当なら いや… それがたとえ嘘でも 俺に優しさをくれたのは とても嬉しい それだけで 本当に愛されてるって 勘違いしそうになれる 「俺が一番好きなのは萩谷だよ」 「…そ……か……」 「俺は、世間一般で言えば性癖は歪んでるし浮気を堂々としてるって言ってるし、最低な奴だよ」 「…ホント…サイテー……」 それでも 「それでも勇気は」 それでも俺は 「俺を愛してくれるだろ?」 それでも俺は… 「ずっと…絶対…愛してるよ…」
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