序章 4

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ヒサシがコロニーゲートにカートを乗り付け、マコトに駆け寄った。マコトは右胸にダーツの矢のようなものが刺さり、既にこと切れていた。 ダーツの矢に似たそれは、小さな注射器のような構造になっている。 胸を掻き毟ったあともない。刺さると同時に絶命したと推測した。 「即死だ。麻酔銃に神経性の毒を入れたのか?」 冷静に判断する一方、血が逆流しヒサシはコロニーの中に飛び込んだ。 いつも眺めていた長閑なコロニーに白い死神たちが訪れ、片端から住民たちの命の糸を断ち切って回っている。 10年もガードを務めていれば、住民みんなと顔見知りとなる。全員が家族のようなものだ。 その家族が、殺戮されていた。 ゲートに近い順に家は襲撃され殺戮は行われ、白装束の男たちはコロニーの奥にある家へと向かう。 ヒサシがやっと白装束の侵入者の背中をとらえたが、男たちの一人が振り向きざまに発砲した。身体を隠した家の木の壁に矢が刺さった。 ヒサシの手持ちの武器はショットガンと拳銃である。 ショットガンは散弾なので射程距離が短いが、白装束の男たちが持つ毒矢を放つ銃よりは射程距離が少し長い。 拳銃はその半分くらいだ。相手の懐に入らなければ使えない。 さあ、どうする?ヒサシが考えているその時間に比例してコロニーの住人が殺されていく。 次に男たちが向かったのは、ユリの家だった。     
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