序章 1

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穀物や野菜はコロニーの栽培で賄うことが出来るが、動物性タンパク質は数少ない蜥蜴や蛇の肉をとるしかない。大型化した昆虫の肉には(いず)れも毒があり食べると麻痺を起こし、酷い場合は死に至るのだ。 コロニーの(たみ)二月(ふたつき)に一度「シティ」から無人車で配送される人口肉「ミートキューブ」を心待ちにしていた。 シティとはこの世界における支配階級「イノセント」と呼ばれるエリートの住む都市である。旧世界から引き継がれる科学技術、医療を用いた快適な都市であるが、食料問題から快適さを確保するためにはある一定の人口しか保持できず、そのほかのヒトを辺境に形成したコロニーに住まわせており、辺境にすむ人々は「イノセント」と区別され「コモン」と呼ばれていた。 Aコモンはコロニーで生活するが、19歳になると同じコロニーの者同士で結婚し、子供をもうける。母親の年齢が20歳と22歳のとき、一人ずつ計二人出産する。 長子が19歳になり親の年齢が39歳になると、両親はシティに戻ることが出来、晴れて名誉イノセントとなれるのだ。     
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