序章 2

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序章 2

「ねえ、ヒサシ。ヒサシったら!」 コロニーの唯一の入り口であるゲートのすぐ傍らにあるガード小屋の窓から、家なみを見渡していたヒサシに髪の長い少女が呼びかけた。 頭の上には、頭の大きなカメレオンに似た爬虫類が乗っている。 大戦後、急速に知能が発達した爬虫類の一種だ。学者によると、旧世界の「イヌ」と呼ばれた哺乳類と同等の知能があり、人間に飼われる生活を選んだ種類だ。薄く毛が生えており顔も平たく、見た目は旧世界の「リスザル」と似ているそうだ。 「おお、ユリか。なんだ?虫がコロニー内に入って来でもしたのか?」 「いや、そんなことない」 ユリが答えると、頭の上の爬虫類が「キー」と鳴いた。 「ん?じゃあユリの母さんと父さんが夫婦喧嘩でもしたか?その仲裁でもしろと?」 「父さんと母さん、よく喧嘩するけど、それでもない」 「じゃあ、何?」 「セデ川にイダを釣りに行こうよ」 「はあ?」     
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