序章 2

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「あーあ、泣かしちゃったよ。ヒサシ、小一時間くらいだったらいいから、ユリの釣りに付き合ってやれ」 ガード小屋で椅子に座り、読書に浸っていたマコトがパタンと本を閉じ、堪らず助け船を出した。 「ユリちゃん、ごめんな。コイツは堅物だからさ言葉がうまく使えないんだよ。おれが暫く一人で仕事するから、一緒に釣りに行ってきな」 「えーっ?!」 と声を上げたのはユリではなくヒサシだった。 「ほら、文句言わずにさっさと行ってきな。だいたい、ユリに釣りを教えたのはお前だったじゃないか」 「まあ、それはそうですが、、、餌をとるのにも時間かかるし」 「餌なら取ってあるよ、ほら」 「こりゃ見事なミルワームだな」 「ユウナおばちゃんちの排水路の近くにたくさんいるよ」 ユリは四角い半透明のケースの中でうごめく十数匹のミルワームを、窓の外からヒサシとマコトに見せた。 「さあ、これで断る理由は無くなったな」 ヒサシは苦笑した。 「わかったわかった。ボディガードするよ。すりゃあいいんでしょ」
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