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ユリのふたつ年上の姉のツバキが、
「誰も見てないんだから、腕でも組んじゃいなさいよ」と耳打ちし、ユリの耳は真っ赤になった。
ユリが釣竿を持って家を出ると、近所のおじさんおばさん達が冷やかし半分に出て来た。
カートの運転席に座る仏頂面のヒサシと対照的に、助手席のユリの頬は桜色だった。
二人の乗るカートがコロニーのゲートを出ると、近所の住人達が口々に
「ユリちゃん、ヒサシの事が好きなんだね」
「ヒサシがガード、Gコモンじゃなくて、私たちと同じAコモンだったら良かったんだろうけど」
「AコモンはAコモンとしか結婚できないからね」
と少し悲しそうな眼差しで二人の乗るカートを見送った。
ユリがセデ川の畔で釣り糸を垂れている。
そのすぐ後ろにヒサシが立っていた。
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