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そうした成果は、彼の登板で如何なく発揮された。
そして、それは捕手・長尾にも伝わり、他の投手の登板時においても活用されるようになったのだ。
更に、だ。
投球に『いいリズム』が作られれば、打撃にも良い影響が生まれる。
投手と打者との勝敗は『場の空気が全てを決める』という。
極限下における怪物同士の戦いでは、どちらが『その場の空気を支配できるか』でその勝敗が決すると言って過言ではない。
『ピンチの後にチャンスあり』と言うが、ピンチを乗り切った側からすると『イケる!』という空気になるし、チャンスを潰した側からすると『意気消沈』に陥りがちだ。
そうすると空気を支配する側が入れ替わってしまい、勝敗が決してしまうのだ。
これまでなら容易くオトしていた試合が、もつれる展開になる。
膠着するような試合が、勝ちゲームに繋がるようになる。
そうして、少しづつ‥‥少しづつ‥‥
じわり、じわりとリュージンズは成績を上げ始めていた。
無論、それに伴って天神の登板数も増えている。
『せいぜい残り10から15登板』の予定は、1ヶ月を残した時点で全てを消化していたのだった‥‥
ある日、試合前の全体ミーティングで監督があの『登板予定表』を持って現れた。
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