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気の所為か、監督の眼が眼鏡の奥で潤んでいるようにも見える。
「‥‥俺は、今まで二軍で『ズル』してたからな‥‥いくらでも、使って貰って結構ですよ?」
前村が、決意を固めた瞳で監督を見据える。
「いいですね。投手だけじゃぁない。我々野手も、一気にスパートを掛けていきますよ!」
長尾が気勢を上げる。
「よっしゃぁぁ! イケる、イケる、イケるぞぉぉ!」
細木が気合を入れた。
「‥‥せっかくの良い雰囲気だ‥‥こんな事ぁ、ここ10年来無かったからな‥‥」
天神が、ジロリと選手達を見渡した。
「テメぇら、腹括ってくからな‥‥泣き言を言うんじゃぁねぇぞぉ? このオレ様が優勝の『ビール掛け』ってのをよぉ、味わわせてやっからなっ!」
「おおっ!!!」
全員の息が、ピタリと一致した瞬間だった。
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