ROSSO

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《ああっとぉぉ! 工藤、コンドルズの大田をセカンドゴロに打ち取ったぁ!‥‥ボールは一塁に送られて‥‥アウトォォ! ゲーム・セットだぁ!》 実況が、試合の終了を伝える。 「いや~万燈さん、今日は8回・9回と工藤で乗り切り‥‥リュージンズからすれば比較的に楽な展開だったのでは?」 「まぁ、今日は最終回で4点差ぁありましたんでね。天神を投げさす迄も無いっちゅうこってしゃろ。此処のところ、セットアッパーの工藤も安定しとるし」 野手陣が、次から次へとダッグアウトに引き上げてくる。 その顔は眼の前の一勝に浮かれる事なく、引き締まって見えた。 「‥‥これで、リュージンズも4位浮上ですねぇ」 アナウンサーが、ハイタッチをするベンチ前の画像を見ながら呟く。 「まぁねぇ。此処まで来たら最低でも3位‥‥出来りゃぁ2位まで順位を上げたいでっしゃろけどなぁ‥‥」 万燈は腕組みをして、頭を傾げていた。 プロ野球のクライマックスシリーズは2ステージ制である。 ファーストステージでは2位のチームと3位のチームが3試合を行って、勝ち数が多い方がリーグ優勝を果たしたチームの待つファイナルステージへと進む。     
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