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ラブ・ドージング
「相変わらずすげえ量だな」
2月14日の5限目。世界史の授業だったので、二人は保健室に避難してきた。
友人のカバン一杯に詰め込まれたチョコレートを適当につまみながら、拓真は言う。
「俺もこんくらい貰えねえかなあ、これからモテ方講座とかやってくんない?」
「モテ方っていうか、特定の女に好かれる方法とかなら教えれるかもしれないけど、」と悠斗は言った。
「不特定多数の女からモテる方法ってなると、俺くらいの顔が無いと難しいかなあ」
高校に入学して1か月足らずで、拓真は(もしかしたら学校中の人が)「少女漫画的ヒロイン」の存在を確信した。
神沢悠斗は特別だった。
見た目はウォーターボーイズの時の妻夫木みたいだったし、クラス皆が「勉強とかじゃなく、本当の意味で一番頭が良い人」みたいな印象を抱いた。誰かが場の空気を悪くしても、さりげなく適切なツッコミを入れて笑いに変えたりすることもできた。そして勿論、すぐにサッカー部のエースになった。
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