留衣子の本領発揮

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翌日、パスを作って貰いました…というメールが入る。 その日、留衣子は17時半過ぎには巽のお迎えに行っていた。 朝の時点で、今日が早く帰れる最後かも…。と聞いていた。 多分、今日も残業したかったのだと思うが、パスの事も考えて早く帰宅したのだろう。 「夕食、作っておきます。いらない人は早めにメールを。」 留衣子の夕方のメールはそう書いてあった。 「夕食の支度がないなら、ちょっとだけ残業していきます。19時には帰ります。」 と、由良は返信した。 次の日から、留衣子は本当に忙しくなり、朝は何とか巽を送って行くが、早く起きて仕事をしていたし、帰りも23時を過ぎる事もあった。 そんな状態が1ヶ月続き、由良も莉梨子も巽のお迎えと世話をしながらも、留衣子の身体を心配した。 「凄いね?広告代理店…。」 巽をお風呂に入れながら、由良のサポートをしていた莉梨子が呟いた。 「うん、でもどこでも繁忙期ってあるしね? りり、ガーゼ取って。」 「はい。 …でもさ、こんなに忙しいとたっくんとの時間ないよね?」 「それ、一番気にしているのはるるだからね?これからたっくんもいろいろあるだろうし、お金だって必要だし…。仕事はやめられない。タオルいい?」 「準備万端です。」 「じゃあ、たっくん、りりのとこに行こうねぇ。」 「ねぇらら?」 「ん?たっくん、拭いたら連れて行くよ?」 「ううん、そうじゃなくて。これってさ、看護師の勉強に役立ってない?」 「小児科ならこういうのもあるかもね?何でも経験だよ?」 「ふふふふっ……。」 巽をリビングに連れて行くと、後ろで莉梨子が不敵に笑う。 「何?気持ち悪いなぁ…。」 笑って作業を続ける。 「将来、自分の子の予行練習だね。ららの子が先かな~って。」 「ふむ…。その場合、相手は一路さんだけどいいの?」 「まだ付き合ってんの?」 「ひどっ!なんて事言うの?」 二人で笑って、巽を抱き上げた。 留衣子の仕事は1ヶ月経過して、大成功だと聞いた。 その1ヶ月後、社長賞は残念だったが、留衣子は昇級する予定で決まったと聞いた。 秋には「部長」だ。 留衣子のキャリアウーマンの実力が発揮されたひと月になった。
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