プロローグ ~もはや、神は傍観者でしかない~

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 やっと着きましたか。  貴方たちも暇ではないでしょうが、少し聞いてくれますかね。  大丈夫。長くは時間を取りません。ただの昔話です。  その日も報道メディアからの脚光を浴びる私たちは、ヒーローだけでは物足りず、英雄とさえ讃えられる勢いでした。 「国民の大多数から圧倒的支持を得て、幸運を分け与える5人の「幸運の師」が、我々メディアの前に、今、その姿を現しました。」  あるアナウンサーが、その知らせを告げる。  晴天の中、スーツを着た5人組……年齢、性別、容姿、全てバラバラで、どうやってメンバーを集められたかの予想などつく筈のない彼らが、真っすぐに隊列を組んで現れた。その中心にいる、背の低い中学生のような少年は、最年少そうな見た目と裏腹に、リーダーのような風格を醸し出していた。  突然、その少年が口を開いた。 「元来より、我らは神を信じ、敬ってきた。良き行いをすれば、見返りとして幸運が返ってくると信じて。しかしだ、諸君。私は、その神とやらの怠惰を見た。傲慢を見た。目を瞑っている姿を見た。それにすがり付く人々も見た。が、しかし、神の見放しが途絶えていない現状も見た。そこでだ。我々は、神に代わってあり余った幸運を配る、「幸運師団」を結成した。神が見放すその人々を、救済すべく立ち上げた。我々が願うだけでその人は救われる。もはや我々が神の代行人となるのだ。皆、よく聞け。もはや神の仕事には頼れない。我々で、人類の、幸運へ、の真の平等を与えるのだ。もはや神は傍観者でしかないのだ!」  ________一瞬の静寂の後、大きな歓声。  周りの野次馬、アナウンサー、果てはカメラマンまで、それに乗っているようだ。  揺れるカメラの枠で、野次馬をよく見ると、ボロボロの服を着た人たちが目立つ。  
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