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「まだやってたんっすね、俺らの放送。」
テレビに映る自分を見て、部屋にいる金髪の若者が言った。
「まあまあ。表の顔としては英雄じゃからのぅ。」
老人……杖を突いたお爺さんが、なかなか核心を突いた一言を放つ。
「まぁ、どうでもいいけど、なんでそれ見てるの?」
「ってか、リーダーがそれ見てると、なんかキモイ。」
女子二人(?)からの辛辣な攻撃。それをスルーするための秘策。
「そういや、源蔵さん。さっき表の顔、って言ったよね。」
その一言で、皆の顔が引きつる。
すべてを察したらしい、女子(?)が、嫌そうな表情を、全面に出して言った。
「それ、私は反対だけど。」
ポケットに手を入れ、一言。
「フーン。」
この一言で彼女の表情が一変した。
「反対してるだけで、ちゃんとやるから。心配しないで。」
ここには危ない空気がある。殺気を隠し持っている。
この部屋から出よう。そう思い立った。
「よし。じゃあ行こうか。」
僕らはスーツを着て、部屋を後にした。
それが世界を変革する為の、プロジェクト始動の日というだけでなく、幸運師団の、没落へたどる最初の一歩の日でもあることを、彼らはまだ知る由もなかった。
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