第1話 キシ君の話。

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 こんにちは!いたって平凡な、岸優太です!  と、自己紹介するのが、物心ついた時からの夢です。  僕は、運命や未来は、決定しているものではないと思うんです。何故かって?神様を信じていないからだよ。・・・って言いたいところだけど、実際、神は存在するのを知ってる。いわゆる幼少期からね。何故なら僕の周りに神の使いが来ていたから。  神の使いはこういった。 「お前には、十分な持ち運がある。それを見越して頼んでいるのだ。神は存在する。だがしかし、この世界への干渉が許されない。神は日々嘆いていた。しかし干渉の機会が与えられた。この世界の住人一人を選び、それに何をしてもよいと、大いなる意思が決定した。そこで神は、お前を選んだ。お前がこの言葉の意味を知った時、我々はお前に力を与える。その力で、神の望む通りに動くのだ。」  もちろん、こんな言葉が五歳児にわかるものではなく、ずっと脳裏にメモ書きとして残され続けて来た。  そして、干渉の意味を知った、小学三年生のころに、一つの力を得た。  幸運を見る能力だ。相手の持っている幸運量が、見ただけで解析可能。まあまあ使えた。  人は生まれながらにして幸福を持っている。その量は、誰かからもらうこともできるが、条件が少しある。まず第一に、人に贈る過程で、贈る三分の一は消費されてしまう。 また送る側は、一度に使う幸運量が増える。そのため、幸運の消費が早くなり、短命になりがちである。  ちなみに、幸運の消費は毎日一定に行われ、それが足りないと死亡する。つまり命だが、日常生活で、増やすことも減らすことも可能である。生まれた時に持っている幸運はランダムなので、僕のように異常に幸運がある人もいるようだ。僕が見た子供の中で最高は、隣の石上さんのお子さんだ。それでもよく見る幼稚園児と、どんぐりの背比べをしているほどの誤差だ。彼らがどんぐりだと、僕はバオバブぐらいだろう。本当にそのぐらい差がある。  まあ、今そんなことを話したらきりがない。結論として僕は一つ目の力をとても有効活用していた。  神の使いは、 「あの言葉に込めた、深い感情が理解できるならば、二つ目の力を与えよう。」  そして小学五年生。早々に反抗期を終えた僕は、二つ目の能力を手にした。  ここからが重要だ。よく聞いてくれよ。  
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