一、神様が死んで腐ったやつ(春)

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いつのまにこんな、危な、い場所に、来て、たんだろう。 「ひいっ」 恥ずかしいくらいの大声を出して、僕は塀に縋りついた。 「高いの苦手なんだよな、見てたぞ」 彼女は嬉しそうな声を出して、塀の上で僕を見下ろす。 仁王立ちがよく似合うなと思う女の子だ。 「なあ。どこの誰が決めたか、よく知らないんだが」 僕の振動する指が、丁寧に塀から?がされた。無駄に力が強い。 「目つぶししてきたやつには、目つぶししてもいいらしいぜ」 さっきと立場が逆転し、右腕を掴まれ、ひょいっと持ち上げられた。 そして微塵のためらいもなく、彼女は飛び降りる。正真正銘、屋上から。 体がやけに軽くなった気がした。ジェットコースターの頂上で感じるアレだ。 ジェットコースターなんて乗れたことないけど! 心臓が握り潰される。景色が流れるように迫ってくる。 「あ、あ、あ、あ」 掴まれていない左手が、懸命に何かを掴もうともがく。時間がやけに長い。 スローモーション?死ぬ前ってこういう感じ? 息ができない。息をしなきゃ死んじゃう。違う。息なんて関係なく、落ちて死ぬ。 パニック状態の僕を見ながら、彼女は満足げだった。 「ほら、殺す気かって言えよ」 死ぬ。落ちる。死ぬ?死にたくない。怖い。僕は死にたくないんだって!     
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