バレンタインの帰り道。

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 わたし達は三年のクラスがちょうど「一組」と「五組」という、最初と最後のクラス。そのため、ここ一年の関わりは無くなっていた。  久しぶりにあった悠美ちゃんは相変わらず可愛いが、どこか違和感を感じた。何か決定的に違うはずなのに、その違いが判らず胸がモヤモヤする。 「あ、春菜ちゃん」   何が違うのかわからなくてモヤモヤしていると、悠美ちゃんが私の名前を呼んではにかんでくれた。「ああ、そのハニカミだけで私の人生がんばれそうだな」だなんて、なんとも変態的な思考をしてしまった。  複数思考なんか出来ない私は違和感なんかぽーいっと外に捨てて、ニコニコと悠美ちゃんの隣へと行き、話しかける。 「お久しぶりだね! 合唱コンクールの伴奏者試験の時に、話した以来かな」  「お互いに頑張ろうね!」と励ましあった程度の、会話と言えるか怪しい以前の会話をしていたなと思い出した私。試験では合格をもらえて、二人して合唱コンクールの伴奏者を務めた。その後は高校受験まっしぐらになったため、その時の記憶は正直薄れていた。  悠美ちゃんも記憶が薄れているのか、頭をひねって思い出しているようだ。美しい顔を歪ませ、眉間にしわを寄せて、見方によっては苦しそうにも見える表情をした。
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