「1」プロローグ

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「1」プロローグ

僕は、どうしたら良いのだろうか。 この変えようもなくどうしようもない僕の人生について語ろうと思う。 僕は、偽物だ。 こう思いはじめたのはいつからだろうか。僕は、中学校、高校と学年が一つづつ上がるたびに性格を変えた。 変えたというよりかは、馴染ませた。時には、一発芸をやるような陽キャラ。時には、勉強に勤しむ陰キャラ。あるいは、アニメに没頭するオタク。様々だ。だが、この性格は僕のではない。他人のだ。何一つ自分のものになった試しがない。つまり、僕は悪いやつではないがつまらないやつなのだ。クラスが変われば、去年話してたやつと、廊下ですれ違っても話さない。いや、きちょ僕に興味がないのだろう。僕は、周囲に僕の全てを合わせる。だから、自我がないのだ。 例えばこんなことがあった。 僕の家は4人家族だ。 僕には、姉がいて、よく同じテレビを見ていた。 しかし、姉が大学受験を控える時、姉がテレビを見なくなると、僕も見なくなった。そうなのだ。僕は、自分で進んでみたいというテレビは一つもなかったのだ。ただ、姉が面白そうに見ているから自分も見ているだけ。 自己の塊は何もなかったのだ。 僕は、白い人間。何にでも染まり。何度も白になる。 これが僕だ。
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