日なたの礼品

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 猫が居た。  ある日突然、自分の部屋に帰ると見知らぬ子猫がそこに居た。  灰色と黒の縞模様を整える様に毛づくろいしながら、靡くカーテンに目もくれず窓辺に座っているのを確認する。 「あ、、窓空いてる」  窓が少しだけ空いていた。うちはアパートの二階で窓も鍵こそ掛けては居なかったがちゃんと閉めていた。  欠伸をしながら伸びをし、我が物顔で勝手に中に入って来ると足元にスリ寄ってきた。 「すまんな。此処ペット禁止なんだよ、腹減ってんのか?勝手に入ったら駄目だろう」  思わず子猫に話しかける。あまりにも懐く為、飼いたいという衝動が沸き起こるのは仕方の無い事だと思った。  家の中を探して、サバの水煮缶と鰹節を見つけたが本当にあげて良い物かとスマホを取り出した。  色々見た結果、結局猫用の餌をコンビニまで買いに行ってしまった。 ”みゃー”  帰った瞬間、一声鳴くと出迎えられた気持になり急いでパウチの猫餌を開け、紙皿に落とした。 「何だ?食べないのか?」  子供用のパウチの猫餌を買った事を確認したが、周りをペロペロと舐めるだけである。  どうやら食べにくかったようなので、身をほぐすとあっという間に餌を平らげた。
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