1人が本棚に入れています
本棚に追加
「ビター、そっち行ったぞ!」
「任せるのであります!」
振り下ろした剣がモンスターの体を真っ二つに切り分けます。
聞くに耐えないうめき声の後、横たわるモンスターは泡となって天に昇っていきました。
肩の力を抜き、泡を目で追い天を見上げるこの瞬間が私にとっての生きがいです。
葬ったその瞬間に生を感じるとは、なんとも皮肉なものですが。
「しゃー!」
「スポンジあんたうるさすぎ」
「かすたーどたすけてくれてありがとう」
「いーの、パーティーなんだからラスクを助けるのは当然のことよ。ねっ、スペア?」
「そうですね。みんな無事でよかったです」
仲間達4人の会話は戦闘時とは比べ物にならないほど穏やかです。
自分も剣から手を離して頬を緩めます。
強く握られていた掌は、ドクンドクンと流れる血液によってじんわり赤みを取り戻していくのです。
「さぁ皆様!まだまだ終わりではございません!旅はまだ始まったばかりですぞ!」
そうして、魔王城へと続く道を進んでいきます。
私たちはまた一歩、目標に近づいたのです。
最初のコメントを投稿しよう!