私は汚部屋の住人である

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正直に言って。私の部屋は汚部屋である。チョコかと思ったらゴキブリだった……なんてことは日常茶飯事。そんな私でもいい。いつでも掃除してやる。そう言って付き合い始めた彼も転勤になって、現在絶賛遠恋中。ネットで会話はできても掃除はできない。 唯一片付いてるパソコン前の椅子に腰掛けて、彼の通信を待つ。このボーッとしてる時間にちょっとでも片付ければいいのだろうけど、それができるなら汚部屋の住人にはなっていない。 21時58分。待ち合わせの22時を待たずに通信が入る。まだスーツ姿の彼が画面に現れる。 「よかった間に合った」 無理しなくていいのに、真面目だなぁ。 話す内容は他愛もないことで、ダラダラと時間は過ぎていくけど、近くにいた時からこんな感じで、何も変わってない。 と。彼の部屋でチャイムの音がした。こんな時間に来客とか、まさか浮気? 通信を切らないまま画面からアウトしたところをみると、その可能性は低そうだけど。 戻って来た彼が手にしていたのは、通販のダンボールだった。こんな時間に持って来るとか、運送屋さんも大変だ。 画面の前で、彼がいそいそとダンボールを開ける。出てきたのは掃除セットだった。 「今度の休み、そっちに行くから、これ持って」 ふいうち。 あーあ。ぼろぼろ涙出てきちゃったよ。 「あ、ねえ、大丈夫? 泣かないで」 ちがうわ、ホコリだよ、アレルギーだよ。汚部屋なめんな。いますぐ掃除しに来いってんだ。 なんて言えるわけもなく。唯一片付いてるパソコン前の椅子に腰掛けて、私はぼろぼろ泣いてて、画面向こうの彼はおろおろしてて、泣きながらなんかおかしかった。
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