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いつもと変わらない毎日。
今日もそれが始まる。
「お嬢様。
そろそろ登校時間です。」
「………」
「お嬢様?」
「いい加減覚えて…
お嬢様って言わないように言ってるよね?」
「も、申し訳ありません…」
「黒沢が呼びに来たら出る…」
「はい…」
メイドは深々と頭を下げながら部屋を出る。
これもいつもの事。
運転手兼執事の黒沢が部屋をノックし車で学校に向かうのもいつもの事。
今日もそうだと思った。
ノックが聞こえ呼ばれる。
いつものようにカバンを持ち部屋のドアを開けるとなぜか慌てている様子の黒沢。
「今日どなたかとご予定が?」
「あるわけない…」
「迎えの車が来てますが…」
「知らない…」
ぶっきらぼうに答えるのもいつもの事だったが悠は首をかしげた。
黒沢の言葉では悠の祖父ではない。
では誰が来てるのか?
学園では悠の住所を知るものはいないはず。
何となく嫌な予感しかしないままエントランスに降りる。
『行ってらっしゃいませ悠様。』
数人のメイド達に見送られ悠は扉を開け、そして閉めた。
扉の向こうに胸に手を当て微笑みながらこちらを見る晃子朗と蘭丸がいた。
(朝から何のドッキリだよ…)
「ちょ、ちょっと!
閉めることないでしょ!
ゆんゆんを迎えに来たのに!」
「蘭丸…
やはり急過ぎたのでは?
アポもなしではさすがに…」
「会長は黙って!
ゆんゆん一緒に行こうよ~」
いつもと同じだった日常は突然に崩れ去った。
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