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悠を見た蘭丸は目をキラキラさせながら悠に近づこうとするが黒沢に止められる。
「気安く悠様に近づかないでいただけますか?」
「君なんなの?
私が誰か知らないの?」
「存じ上げておりますよ?
しかしそれは悠様に近付く理由にはなりません。」
「むかつく…
桂(かつら)!
こいつどうにかして!」
「わかりました。」
蘭丸の後ろから彼の執事らしき人物が前に出る。
「黒沢…
こんなのに構う必要ない…
行くよ?」
「はい、悠様。」
「待て!」
桂の手が黒沢の肩を掴む。
「俺が許す…
片付けろ…」
悠のその言葉を聞いた瞬間桂は華麗に宙を舞った。
正確には黒沢が桂の手を掴み足払いをかけ体を綺麗に一回転させながら投げ飛ばしたのだ。
桂は反射的に受け身をとるがカーペットがひかれているとはいえ固い床では痛い。
「行くよ…
黒沢…」
「待ってゆんゆん!」
「干渉しないで…
鬱陶しい…」
悠と黒沢はそのまま部屋を出ていった。
「桂弱すぎ!
なにしてんの!」
「すいません…」
「もう!
あんなやつ一人倒せないなんて!」
「黒沢は屋敷の中でも一二を争うくらい強いからな…
無理もなかろう…」
「役立たず!」
桂に吐き捨て部屋から追い出す蘭丸。
追い出しドアを閉めると真剣な顔で春道を見る。
そして先ほどまで悠が座っていたソファーに座る。
鞄の中から書類の束をだしテーブルに置く。
「昨日問い合わせいただいた件の報告をしても良いですか?
担当は別の人だったのですがどうしても外せない用があって私が来ました。」
「わざわざすまないな…
報告を聞こう…」
それから蘭丸と春道は一時間近く話をしていた。
悠の今とこれからの対応を。
そんなことも知らない悠は眉間にシワを寄せながら帰宅しメイド達に心配されたのだった。
学園生活は一筋縄では行かないようです。
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