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まぶたの向こう側に感じるLED電球の光を、嫌がりつつも目を開いて感じた。
どうやら誰も起こしてくれなかったらしい。絶えずキーボードを叩く音に会話音。
明るい部屋の照明だけでなく、液晶ディスプレイが何個も光を放っている。
黒いシャーシのデスクトップパソコンもさほど広くない空間に5台もあるのだ。
目覚まし時計を見ると、簡素な2段ベッドの下から急いで出て、洗面所で顔を洗った。
仮眠を取るつもりだったが、3時間も寝入っていたようだった
顔を拭いて部屋へと戻ると、長髪の見知った顔が椅子に腰かけたまま言ってきた。
「おーやっと起きたかよ」「誰か起こしてくれっての」「いやー俺集中してたのよね」
肩まで伸びた長髪を撫でながら、半笑いの表情で言うのでどうも疑わしい。
「まー3日後のことがあるしねぇ。5チームとやるんなら俺も寝貯めしとくかぁ」
「え、寝るの?せっかく…」「2人も3人もそう変わんないっしょ」
ほとんどの現役選手が20代というe-sportsのプロの世界。この世界が俺が足を踏み入れて、
既に1年半の月日が経っていた。入ったときはまだ高校性だったが、今は大学進学せず
ずっとゲームの毎日を暮らしている。自分も悪いとは言え、この時期に5人で練習できない
のは気が重かった。だが俺はやるしかないのだ。言い聞かせながらゲーム用の椅子に座ると、デパートで見たようなチョコレートの包みと同じがものが自分のデスクの上にあった。
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