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二月十四日、当日
学校があった火曜と水曜も同じように手紙はあったが残念ながら差出人は今もわからないままだった。
そして木曜、バレンタインと私の誕生日だ。
学校がざわめいていてそこら中で、友チョコを渡し合っている。
もちろん私も百合、皐月、菫という仲良しに渡すチョコを持ってきている。
昼休みに三人と学食で会う約束をしていて、昼休みの今まさに探しているところだ。
「雫ー!こっちこっちー!」
立ち上がって手を振っているのは皐月だった。
私は早歩きで三人の元へと行く。
「ごめん、遅くなった。」
「良いって、それより早く交換しよ!」
待ちきれないのか三人とも持ってきた紙袋を出してくる。
私ももちろん取り出すが、少しだけがっかりしてしまった。
(やっぱり誕生日覚えてないよね。)
毎年のことだし慣れているとはいえ寂しさは浮き出てくる。
しかし今年は不思議な手紙もあったことだし気は紛れていた。
(けど今日はなかったな。)
だいたい朝一の講義のときに手紙が置いてあるのだが、前日の手紙にも特に指定はなかった。
手紙の主たちもこの日は忙しいのかもしれない。
むしろそちらに寂しさを覚えながらも私は友人たちとチョコを交換し合った。
残念ながら昼休み後の二回の講義でも手紙はなく、本日最後の教室へと向かう。
席の決まっている講義なので、少しだけ期待を持って早めに席についた。
(あった!!)
一番最初のときの淡い青色の封筒に素っ気ない便箋が入っている。
逸る気持ちを抑えながらも素早く丁寧に手紙を空けた。
『帰る前に指定の教室へ』
書かれていたのは自分のクラスがHRする教室だった。
空き教室になっているので、そこに何かが置いてあるのかもしれない。
謎解きがなかったのはやっぱり差出人もバレンタインで忙しいからなんだろうか。
(この人達にもチョコ渡したかったな。)
正体がわかる時が来るんだろうか。
そんな事を考えながら今日初めての手紙を喜びながら講義を受け、放課後に想いを馳せた。
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