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そういえば彼もどこかで見たような気がする。
既視感のせいで凝視していると男の子は肩をすくませた。
「あんたが好きなチーズケーキ奢ったの俺なんだけどな。」
「あっあのカフェの人?」
「ちょ!ケーキ代俺だって払ったからな!」
横から宇都宮くんが抗議してきた。
数日前、カフェでチーズケーキと紅茶が出てきたのは彼の尽力があってのことだったらしい。
相変わらず二人は言い合っている、どちらかというと宇都宮くんがつっかかってるようにも見えなくもない。
そんな二人を尻目に三人が私に近づいてくる。
「雫、いつも誕生日はつまんないって言ってたから。」
「そりゃ忘れられてたら嫌だよねー」
「今年くらいは楽しんでもらおうと思ってね!」
色々考えた結果、宇都宮くんと相談して手紙を仕込んでプレゼントを渡すという方法に至ったらしい。
私はみんなと貰った花を見ながら母に言われた言葉を思い出した。
(ほんとに繋がってるんだね。)
愛なんて言葉だけのものだと思ってた。
けど、そうじゃないんだと今日実感できて胸が熱くなる。
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