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机の引き出しの部分、そこから少しだけはみ出して手紙らしきものが入っていた。
(何だろ?)
取り出して席に着く。
表裏とも何も書いていない、薄水色のシンプルな横長の封筒。
封もされていないので難なく開けたら素っ気ない便箋が一枚入っていた。
開いてみると手書で、
『貴女の大事な物を持っている、指示に従えば手に入れられる』
と書かれてた。
いたずらにしては趣味が悪い。
私は手紙を封筒になおしてあとで捨てるために鞄に突っ込んだ。
(どうせ暇を持て余した誰かが私の反応を見て楽しんでるんでしょ。)
私の机を狙ったなら生徒の誰かだろう。
最近失くしものもしてないし適当な事を書いて怖がらせたいだけに決まってる。
そうでなくてもこの時期不愉快だというのに、私の苛々は頂点に達しかけている。
「雫ーどうしたの?」
気持ちを抑えようとしていたら友人の百合が話しかけてきた。
講義がかぶることが多いので自然に仲良くなり一緒に弓道のサークルに参加している。
(百合が…するわけないか)
すぐ話しかけてきたので怪しんだが嫌がらせをしてくるタイプではない。
「なんでもないよーお腹空いたなぁって。」
「もー雫ってば今来たばっかでしょ。」
他愛ない会話を交わして少しだけ気持ちが落ち着いた頃先生がやってきてHRが始まった。
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