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それは素直に嬉しいのだけど…
父は厨房一筋ン十年なだけあって接客は下手くそだし、どんなに頑張っても笑顔が引きつってて怖い。
おまけにレジも使いこなせなくて私が少し離れると行列ができてしまうから5分が限度なのだ。
「柊がね、私が作ったメロンパンとサンドイッチ美味しいって言ってくれたよ」
「そうか。良かったな」
父に彼氏の話をする日が来るなんて思ってもみなかった。
頑固な父のことだから柊との交際も反対するだろうと覚悟していたのに、意外にもこの恋を応援してくれているらしい。
堂々と告白した柊の男らしさを気に入ったのだと前に酔った勢いで言ってたっけ。
付き合ってすぐに同棲の話が出たときだってダメ元で話を切り出した私の予想を大きく覆し、小躍りしながら賛成してくれた。
色恋沙汰が皆無だった一人娘の浮いた話に、一番喜んでいるのは父と言っても過言ではないのだ。
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