キミと私

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午前7時40分。 毎朝その時間、柊は必ず私に会いに来る。 「杏、おはよう。って二回目だけどね」 爽やかな挨拶と笑顔は一回目よりも眩しいくらいだ。 周りの人達から注目を浴びていること、多分本人は気付いてないんだろうな。 だって、柊は私以外の人間に全く興味がないのだから。 これは決して自惚れではなく、本当の話。 私達の出逢いが運命的なものだったのかと聞かれれば、答えはNOだと思う。 柊は、私が働いている店の常連さんだったというだけでシンデレラストーリーなんて存在しないし。 「これと、あとホットコーヒーもお願い」 「はい。少々お待ちください」 仕事中は極力他のお客様と同じように接することを心掛けているけれど。 内心ドキドキしているって知られたら…絶対笑われるから黙っておこう。 「お待たせしました」 平常心を保ちつつ先にお会計をしてもらった。 トレーに乗せられた焼きたてのクロワッサンを紙で包み、淹れたてのホットコーヒーが入ったペーパーカップと一緒に手渡す。 「ありがとう。また昼休み来るから」 お釣りも商品も受け取る前に私の手をキュッと握り締めるのはいつものことで、やめてほしいと思っていることナンバーワンでもある。 …せっかく落ち着いてきた心臓がまたうるさくなっちゃうじゃん。
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