お返し

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子供達は、ひそひそと嫁と話している。 「何をこそこそ話しているんだ。呼ばれたら早くこい。」 どんどん矢継ぎ早にものをいえば嫌われちゃうのに。 嫁は感じた。 ハンバーグとサーモンアボカドサラダとグラタンを準備した。フランスパンも買っておいた。 旦那は、料理と美味しいお酒を愛している。 五万は、するだろうと言われているオリーブオイル。空になっていて、幼子がよちよち歩きながら遊んでいる。 旦那が血相を変えている。バレンタイン用にワインを買ってくれた。 オリーブオイルを見て旦那が慌てていた。五万もするのに。 違い分かるん? 生ハムとメロンを前菜にして、ルッコラとパルミジャーノをのせて。 空になったオリーブオイルのボトルを旦那に渡せてホッとした。まだ未開封の高いオリーブオイルと。普通に美味しい安いオリーブオイルを用意し前菜に使った。 いつも嫌みを言うけどそんなには、不満はない。普通にいえばいいのに。そんな嫁は、いつものお返しにオリーブオイルの空になったボトルをおいておいた。 もう空になったと思わせるために。 普通のオリーブも美味しいよって知らしめるために。 私達の為に働いてくれている。子供達にもお金のありがたみを教えたい。 もちろんお父さんが頑張っていることも。 仕方ない。このフルボトルだけ多めに見よう。 これは、いつものお返しね。 人差し指を口にあて、ニコニコしている子供達。神様から授かった可愛い子供達。 美味しくご飯を食べられる。 それだけで良いじゃないか。
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