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下駄箱の手紙を片手に自動ドアをくぐる俺を、駄菓子屋のおばちゃんは普段どおりの陽気な声で迎えてくれた。
「あのさ、おばちゃん。今日、アオイって来なかった? チョコをあずかってるとか──」
自らチョコという言葉を口にしてしまったことが恥ずかしく、顔が熱くなった。
「あぁ。アオイちゃんからアンタに伝言あずかってるよ」
「伝言?」
「駅前の神社に来て欲しいって。池の周りにある亀の銅像を調べろってさ」
「それ、アオイが言ってたの?」
「そうよ。真剣な表情で言ってたわよ。アンタに大事な用があるからって」
別にからかわれているわけじゃなさそうだ。
店を出る俺を呼び止め、おばちゃんは俺に長い棒状のチョコレートスナックを手渡した。おばちゃんからのバレンタインチョコを、ありがたく受け取った。
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