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フードコートでハンバーガーを食べていると、ミヅキが
「リツはチヒロからチョコもらうのか?」
と尋ねてきた。
「あー、一昨日そのことで連絡きたけど、チヒロ今インフルエンザにかかっちゃったんだって。だから治ってから作るってことで、今日はもらえない」
そういうことで今日の予定はないから、ミヅキと遊ぶ約束を了承したわけでもあった。
「だったらリツから今日チョコ渡せば? お見舞いってことで行ったらいいじゃん」
SNSのやりとりだけとか寂しいやつだなぁとミヅキは言って二人で分けているポテトをつまんだ。
「インフルだってのにチョコ食べるか? お前じゃないんだし。お見舞いには行こうかと思ってたけど」
「治ってから作ってくれるっていうんだから、ただ待ってるよりリツも渡したらどうかってことだよ」
ミヅキの言ってることは正しいと思った。逆チョコだ友チョコだとさっきまで言っていたのだから、チヒロからもらうばかりではなく俺も何かしたい。
「そうだな。じゃあこれ食べ終わったら売り場見てみるか」
「おっ、俺も見に行く。あとお見舞い行くならこれ」
ミヅキが通学用のリュックから取り出してきたのは、薄い箱に入ったチョコレートだった。
「友チョコってことで、あげるよ」
「自分が一つももらえなかったのに俺にくれるのか……まぁ、もらうよ」
ミヅキの手から俺の手に渡ったとき、想像していたよりも軽い箱に眉をひそめた。
「…………は」
箱の蓋が開いていた。チョコかと思ったら……ただの空き箱とは。
「おいミヅキ、空き箱はナシだろ」
「え、ちょっと期待した? ごめんごめん、それより空き箱じゃないし」
中見たのか? と笑いながら聞いてくるミヅキの言葉にイラっとしながらも、箱の中を見てみた。
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