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 絶句する彼女。事態の重さに、スマホもフリーズする。 「もしかして、あたしも乗り換えられようとしてる? ほかの女に」 「……私の気持ち、すこしはわかりました?」  彼女は無言でうなづくと、その場にへたりこんでしまった。  ああんあたし捨てられちゃう! そしてこのまま婚期逃しちゃうんだわあ、とわんわん泣きはじめた彼女の手の中で、スマホはなにやらひらめいたらしかった。 「じゃあ、こういうのどうです? ほかの女への乗り換えを阻止できたら、機種変更を思いとどまるってのは。いい策があるんですよねえ。アッでも機種変えられちゃうんだっけ。アー仕方ないな、きっと確実なのになあ」 彼女は目を血走らせて言った。「教えなさい。はやく」 「じきバレンタインでしょう? これを逃す手はないです。オーナーは料理苦手ですよね。ここですばらしいチョコを渡せばイメージも一新、彼氏もいちころですよ!」 その瞬間、彼女の脳裏にバラ色の妄想が爆炎のようにひろがった。そうねきっと驚くわ。ええっ、こんな素敵なチョコレートをきみが。こんな家庭的だったんだね! そしてあいつったらズボンを下ろしながらこう言うのよ。結婚しようって!  妄想にウットリする彼女に、スマホはすかさず言った。     
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