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(・・・一瞬チョコかと思ったら、なんだこりゃ)
ただ今、下駄箱前。取り出そうとした靴の上に乗っていた長方形の何か。
持ち上げてみるとずっしりと重かった。どうやら、包み紙は有名なショコラティエの物だが、中身は違うらしい。心なしか人肌程度に温い気がする。
(だいたい今日は十二日だ。バレンタインでもない)
悪戯にしても雑すぎるなと思いながら、靴を取り出し帰路を急いだ。
家には誰もいなかった。二階に上がると右手側に部屋が二部屋あり、階段に近い自分の部屋に入る。
明かりをつけて、目の前のベッドにダイブした。
「さて、何が入ってんのかねぇ」
くつろぎながら包みを開ける。すると、思わぬものが出てきた。
「あれ、これ、チョコ?」
においを嗅いだり、叩いてみたりしてもやはりチョコだ。
(大きさの割に重い気がするけど、何か中に入っているのかな?)
端っこをパキッと割って、思い切って口に入れてみる。
ポリポリとかみ砕くと、舌の上でとろりと溶けた。でも、甘くもないし、カカオの香りもしなかった。そのまま飲み込む。
(うーん、食べれはするけど・・・美味しくねぇな)
「そうか。美味しくなくてすまない」
誰かの声がした。驚いて飛び起きる。
「誰かいるのか!」
「全部じゃないけどいるよ。ほら、手元手元」
起き上がってみて気づく。部屋にいる誰かが話しかけてきているのではなく、自分の頭の中に直に声が響いているようだった。
(どういうことだ?つーか手元って、まさかこのチョコ・・・)
「俺の頭だ。ああ、食っても人体に害はないから安心してくれ」
(そういう問題じゃねぇよ!!)
急に気分が悪くなる。急いでゴミ箱に駆け寄って、吐く体制になった。
「おい、大丈夫?吐くなよ。ちょっと頼みたいことがあるし」
「・・・いや、なんなんお前」
どうがんばっても吐けそうにないので仕方なく話をすることにした。
「私?まあ、宇宙人ってやつだよ。ちょっと事故にあってね、なんやかんやでこんな感じになっているだが・・・」
「宇宙人!?まさか、人間の体乗っ取って地球征服するつもりじゃ・・・」
「落ち着け。私はそういうタイプじゃないから安心してくれていいぞ。まあ、聞け」
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