2章 ああ、チョコみたいに溶けたらいいのに

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「まとめらんなかったの、それ?」 「本当はそうしたかった。だが、両足と体の回収者が二人とも敵性種と睨めっこしてて来れなくてね。明日は彼の地球人の知り合いが持ってきてくれるそうだ」 (それなら今日、学校に持ってきてもらってもよかったよね、ってツッコミは野暮か) 「できたらそうしている。地球人にこういう仕事を頼むのは我々としては最終手段なんだ。彼としても友人を危険にさらすのは避けたかったんだろう、解かってくれ。・・・宇宙船の破壊が原因か知らないがこちらにもイレギュラーな事態が多い。君たちの安全を考えれば多少回りくどい手段を取らざる負えない」  そう言われるとぐうの音もでない。  噴水前に着く。チョコもどき星人の同士とやらは彼のナビゲーションですぐに会えた。  三十代ぐらいの男だ。にこにこと笑いながら話す彼は人間にしか見えない。  彼から渡されたのは、赤い包みにくるまれたものだった。 「中身は君の持っている物と同じだから、よろしくね・・・助けてくれて、ありがとう」  言いたいことだけ言って男は足早に去って行った。 「ずいぶん急いでたね、彼」 「敵性種が近くにいるようだ。彼が引きつけているうちに早く帰ろう」 「うっ、了解」  安全なルートを彼に教わり何事もなく家に着く。 (受け取っただけだけど、疲れた。さっさと寝て明日に備えよう)  風呂と食事をすぐに済ませてベッドに入った。 (明日も楽に済めばいいな) 「そうなるように努めよう」  いつもの淡々とした口調に安心感を覚える。  そして、すぐに眠ってしまった。
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