2章 ああ、チョコみたいに溶けたらいいのに

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翌日、いつものように学校に行く。しかし、下駄箱で待っているはずの運搬係がいなかった。 (あれ、確か引き渡しは朝にするんじゃなかったっけ?)  見回しても運搬役らしい生徒は見つからない。チョコもどき星人に問いかけながら教室に向かう。 「・・・すまない、問題発生だ。運搬を任せた少年が私の両足を紛失させたらしい」 (うっそ、どこで!?) 「それが・・・・同じクラスの友達にあげたそうだ。護衛がついてるとはいえ、持ち歩くのが怖かったのだろうな」 (まじかよ、じゃあそいつから回収しないと。あげたやつの名前は?) 「サナダアキトという生徒だ。知り合いか?」 (・・・うん、友達だわ。大丈夫、回収できそうだ) 「そうか、よかった。頼んだ」  頼まれなくても真田のとこには向かうつもりだ。無責任な運搬役に腹が立ったが、それどころではない。 (文句言いたいから、その運搬役の名前後で教えてくれ) 「ああ、聞いておこう」  そして、スマホを取り出して真田にラインを送る。今日がバレンタインなのが不幸中の幸いだった。 『真田、放課後手伝うぞ』  メッセージのすぐ後に、かわいい犬がかたじけないと頭を下げてるスタンプがつく。  そして、すぐにメッセージ。 『珍しいな。じゃあ放課後な。久しぶりだし、色々話そう』 「よし」  真田は忙しいやつだが、運よく今日は空いていたようだ。  始業のチャイムが鳴る。正直、授業など全く頭に入らなかった。  そして、あっという間に放課後になる。駆け足で下駄箱に向かう。 「おう、多喜遅いぞ」 「悪いな。真田・・・すごいな相変わらず」  満面の笑みを浮かべる幼馴染の手には、百貨店の紙袋が四つほど握られている。
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