2章 ああ、チョコみたいに溶けたらいいのに

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「相変わらず。すごいな」 「ああ、包装が丁寧なものが多いから仕分けが大変だ。お前いつも手伝ってくれないくせにどういう風の吹き回しだ?」 「・・・いや、今年は特に大変そうだって聞いたからたまにはな」  二人で肩を並べて彼の内に向かう。  小学生のころからモテるこの幼馴染はバレンタインの贈り物はチョコとその他に分ける仕分け作業を毎年している。 「しかし、今日一日でその量か。登校してくるときも他校生からもらったりとかしてる?」 「ああ、そう。いきなり声かけてくるからびっくりするよ。今日とか男も渡してきたし。友達に頼まれたとか言ってさ。断ってくれればいいのに」 「それは言い訳で本当はそいつからだったりして。どれに入れたの?」 「まさか、よくあることだし。赤いやつだった気がするが、覚えてないな」  話しているうちに彼の家に到着する。 (早く見つかるといいな)  そう願いながら彼の家に入った。  仕分けは大体一時間程度で済んだ。  二人で二袋ずつ分担し、チョコもどき星人の体は二つ目に仕分けした青い袋から出た。  赤い紙袋に包まれたそれはやはりほかのチョコより明らかに重みがあった。  真田に気づかれないようにこっそりと鞄にしまう。 (次はどうするんだ) 「噴水の前に行ってほしい、あそこで体の結合を行う。君の家にある私の欠片は同士が回収したから自宅には戻らなくていい」  チョコもどき星人の声が頭に響く。続いてだるそうに伸びていた真田が言った。 「お疲れ、多喜。せっかくだし飯食ってくか?」 「いや、ちょっと用事があるから帰るわ」 「なんだ、やけに忙しいんだな。本当に珍しい。そうだ、これもってけ」  机の上に乗っていた小さな箱を真田が投げてよこした。 「何これ?」 「チョコボール、いらんからやる。報酬だ。これなら食べられるだろ」 「足りねぇよ。今度なんかおごって」 「いいよ。じゃあな」 「おう」  そして、すぐに真田家を後にする。陽が傾きかけていた。
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